●バストショットのポーズも意識は全身で

ポートレートとは肖像・肖像画・肖像写真という意味ですが、写真でいえば表情が主題になりますからフレームサイズでいうとバストショットになります。ここで大切なのは、バストショットのポーズィングでも意識は全身でポーズをしていると考えることです。
 全身でポーズをしているところの、胸から上をトリミングしたものがバストショットであり、さらに顔の部分をトリミングしたものがアップと考えます。頭の先からつま先までトータルに考えてポーズをしていれば、バストショットに切り取っても肩と首のラインが自然な動きを作っていて雰囲気意のある写真になります。 
 顔しか撮っていないから顔だけで表情を作ろうとすると、不自然な写真になります。

*トリミング=際立った部分をきりとること

●全身でポーズ=フルショット
282 全身ポーズ ピクセル変更

●上半身をトリミング=バストショット
282 BS ピクセル変更

●顔をトリミング=アップ
282 アップ ピクセル変更

●小道具について

小道具とは手で扱う範囲の大きさのものを言います。宣材を撮るときは、自分のどんな雰囲気の写真を撮りたいかで小道具の選び方と使い方は変わります。
 たとえば、リラックスしたムード作りでしたら雑誌・ティーカップ・サングラスなどが手ごろです。あるいは、生き生きした表情を出したいという場合は、自分の特性(特技)が出るものを使うこともできます。楽器をやっているなら、その楽器を持ってみたり、テニスをやっていたらラケットやボールを持ってみたりします。
 注意点は、小道具は自然な表情を引き出すための道具です。実際に使っている様子を見せることが目的ではありません。自分より目立ってしまい小道具のコマーシャルにならないように注意してください。たとえば、携帯電話は様々な表情を引きだせて便利ですが、実際に電話をしているところは、顔を隠すことになりますし、機種や発売年度も気になります。

●コーヒーカップ
81 コーヒーカップ

 

●手は小道具

バストショットでは、フレームの中に写る手(手先)は写真全体の雰囲気作りに大変便利な小道具として機能します。しかしまた、日常生活でも手は数を数えたり、くしになったり、日よけになったりと非常に便利な道具でもあるので、写真の中では雄弁にならないように丁寧に使います。
 それから、バストショットで、いつも手を使う癖をつけると昔の映画女優のブロマイド写真のように「写真撮りのためにポーズをしている」という雰囲気になってしまいます。特にオーディションなどには「ポーズをつくった感じの写真」は出さないように気をつけましょう。

●さりげなく手を添える
88 手を添える

●何も表情をつくらない

誤解を恐れずに言えば、モデルのポートレートでは何も表情をつくらず「無表情でただそこにいる」写真というのが一番インパクトがあると思います。これは、多くの広告写真が何らかの意識的な表情をしている(笑う・澄ます)のに対し、その逆を狙っているともいえます。つまり、よく若年層のモデルに求められる「まだ表情を知らない顔=無垢なもの」の雰囲気です。
 しかし、これが効き目があるのは、顔の造作のバランスが非常に整った人の場合とも言えます。つまりだまっていても、えもいわれぬ美しさがあれば、かえって人は「どうして無表情なのだろう、ほんとは何を考えているのだろう」と、惹きつけられるのです。簡単に言えばカメラを向けられているのに、何も表情をつくっていない様子が不思議な雰囲気になるわけです。

●計算した無表情
156 計算された無表情