●カメラ目線をはずす

カメラレンズから目線をはずすと、撮られていることを知らずに撮影されたという感じになります。客観性を出すことによって情景描写っぽくなり、その写真は、あたかも何かの文脈を構成するひとつの場面であり、映画の中の一つのシーンのような雰囲気になります。
 カメラ目線では、モデルが何らかの意思を見るものに直接伝えようと感じられるのに対し、はずした目線は、逆に意志を伝える意図はないことを意図的に伝えています。「あるどこかを見ている」ように感じさせ、「見ていないようで、何かを見ている」ことで、表情を神秘的なイメージにすることができます。

●意図的にはずしたもの
ロケ 157 修正

●写真の空間=空気=雰囲気

人物が主体となるポートレート写真ではモデルの目線で写真の構成となる空間をつくっているとも言えます。空間は空気であり、空気とは雰囲気を伝えるものです。目線でできる線=イマジナリーライン(想像線)から、私たちは、そこに写っていないものも想像してイメージが広がるわけです。
目線をはずした写真で伝わる雰囲気には、大きく分ければ次の二つがありあます。
@「漠然と何かを見ていて目の焦点が定まっていない」ように見える。
A「(カメラレンズ以外の)何か対象物を見ている」ように見える。

●漠然と何かをみて……
ロケ 26 漠然と何か見て

●ふとした表情・仕草

モデルという仕事が意識的にポーズや表情をつくることは説明しました。それではまったく撮影という状況を意識しなかった場合はどうなるでしょう。
 たとえば、盗み撮りに近い感覚になりますが、撮影の休憩時間にモデルが休んでリラックスしているところを本人に気づかれないようにカメラマンが撮ったと思ってください。そして、その「ふとした仕草」がポーズのようで、何らかの雰囲気を醸し出しているとしたら、その写真をモデルはどう解釈したらよいのでしょう。カメラマンは偶然を狙ったわけで、モデルはポーズも表情も意識していませんが、それも充分にモデルの資質を現しているといえます。つまり、まったく無意識の中に本人の特徴が現れることもあるといえます。
 これを逆手にとって、無意識風にポーズをしている写真もあります。

●無意識風
375 無意識風 グレースケール